要点 01

使い回しが一番のリスク

パスワードで最も危ないのは、短さや単純さよりも使い回しです。どこか一つのサービスから漏れると、同じ組み合わせが他のサービスでも試され、芋づる式に破られていきます。強いパスワードでも、使い回していれば一か所の漏洩で価値を失います。

まずやるべきは、複雑さを上げることよりも、重要なアカウントの使い回しをやめることです。すべてを一度に変えるのは大変なので、メールや決済など影響の大きいものから、固有のパスワードに置き換えていきます。

自分のメールアドレスが過去の漏洩に含まれていないかを確認できるサービスもあります。心当たりがなくても、古いサービスの漏洩で同じパスワードが出回っていることは珍しくありません。使い回しをやめておけば、そうした過去の漏洩の影響も断てます。

要点 02

覚えるのをやめて、ツールに任せる

強いパスワードを何十個も覚えるのは現実的ではありません。だから多くの人が使い回しに戻ってしまいます。ここで効くのがパスワード管理ツールです。長くランダムなパスワードを生成し、暗号化して保存し、必要なときに呼び出してくれます。

自分が覚えるのは、その金庫を開ける一つのマスターパスワードだけです。長く、自分には意味があるが他人には推測しにくいフレーズにします。管理ツールを使えば、各サービスのパスワードは覚えなくてよくなり、固有で複雑なものを無理なく保てます。

ブラウザ内蔵の保存機能でも、使い回しをやめる第一歩としては十分役立ちます。専用ツールに移すかはあとで考えればよく、まず「生成させて、覚えない」流れに慣れることが、長続きの近道です。

優先

どのアカウントから守るか

すべてを同時に整えるのは大変です。乗っ取られたときの影響が大きいものから順に手をつけます。

アカウント 乗っ取られたときの影響 優先度
メール 他サービスの復旧に使われ、被害が連鎖する 最優先
決済・ネット銀行 直接お金に関わる
ドメイン・サーバー サイトやメールごと失う
SNS・その他 なりすましや情報漏れ
実行

今日からできること

  • メール・決済・ドメインなど重要アカウントを書き出し、守る順番を決める
  • パスワード管理ツールを一つ選び、まず重要アカウントから登録する
  • 使い回しているパスワードを、管理ツールで生成した固有のものへ変える
  • マスターパスワードは長く覚えやすいものにし、復旧手段も用意する
キーボードとセキュリティを象徴する、パスワード管理のイメージ
要点 03

マスターパスワードと復旧を固める

管理ツールに集約すると、マスターパスワードと復旧手段が要になります。ここを失うと、保存した全パスワードにアクセスできなくなります。マスターパスワードは紙のメモやスクリーンショットだけに頼らず、思い出せて、かつ他人に見られない形で保管します。

多くのツールには、緊急時の復旧コードや復旧用の連絡先設定があります。導入時に必ず設定し、その控えを安全な場所に保管します。二段階認証も併用すると、マスターパスワードだけが漏れても入られにくくなります。

アカウント復旧設定の考え方は、パスワード管理ツール自体にも当てはまります。困ってから設定しようとしても、そのときにはログインできないことがあります。導入した直後の、落ち着いているうちに固めておきます。

要点 04

優先順位をつけて、少しずつ移す

すべてのアカウントを一度に整理しようとすると、途中で力尽きます。乗っ取られたときの影響が大きいものから順に、固有パスワードと二段階認証を整えるのが現実的です。メール、決済、ドメイン、主要SNSあたりが先です。

残りは、ログインする機会があるたびに一つずつ管理ツールへ移していけば十分です。完璧な一括移行より、使い回しの重要アカウントをゼロにすることを先の目標にします。地味ですが、疲れている日でも回る形にしておくほうが、長く安全を保てます。